フィボナッチ数と黄金比【第77号】
ローマ数字では 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10 が I, II, III, IV, V, VI, VII, VIII, IX, X になります.また 50, 100, 500, 1000 はそれぞれ L, C, D, M になります.基本的には大きい数字から小さい数字を並べて,全てを足し合わせます.例えば2021は1000が二つ,10が二つ,1が一つですからMMXXIになります.また10までの数字と同じく,小さい数字を大きい数字の左側に書いた場合は,大きい数字から小さい数字を引きます.例えば300は100が三つなのでCCCですが,400は500から100を引くのでCDになります.
と書かれているのですが,単語の先頭の文字だけ拾っていくと MDCIII つまり1603で,エリザベス1世の崩御の年を示しています.
自然界に出てくるフィボナッチ数
美術で見かける黄金比
数学者はよく n 番目のフィボナッチ数を F(n) と書きます.例えば F(0) = 0, F(1) = 1,F(2) = 1, F(3) = 2 ですね.
フィボナッチ数 F(n) と F(n-1) の比率のことを一般に φ(n) と書きます.簡単に書くと
φ(n) = F(n) / F(n-1)
ですね.ギリシア文字φは「ファイ」または「フィー」と呼びます.「ダ・ヴィンチ・コード」のロバート・ラングドン教授は φ を「フィー」と呼んでいました.
例えば φ(2) = F(2)/F(1) = 1/1 なので φ(2) = 1 です.また φ(3) = F(3)/F(フィボナッチを英語に翻訳する 2) = 2/1 なので φ(3) = 2 です.もう少しお付き合いください.今度は φ(4) = F(4)/F(3) = 3/2 なので φ(4) = 1.5 です.このように n が大きくなっていくと φ(n) の値は大きくなったり小さくなったりしながら,ある値に近づいていきます.
そして n フィボナッチを英語に翻訳する がうんと大きくなったとき φ(n) の値は 1.618… になります.この値は「黄金数 (golden number)」と呼ばれています.黄金数のことは単に φ と書きます.
長方形の縦横を 1:フィボナッチを英語に翻訳する φ の比率にすると,人間の目には大変心地よく見えるようで,この比率のことを「黄金比」と呼びます.例えば「名刺」の縦横比は黄金比にかなり近いです.日本の名刺の一般的なサイズは55ミリメートル掛ける91ミリメートルなので,縦横比は 55:91 ですが,これはおおよそ 1:1.65 なので 1:φ に近い数字になります.
またある長さを 1:φ になるように分割することを「黄金分割」と呼びます.黄金分割のような直線上の比率も同じく「黄金比」と呼びます.黄金比は他にも,正五角形の頂点を結んだ「星形」の辺の比率に現れたりもします.
そこで大ピラミッドの設計でも「黄金比を意識したはずだ」という意見が世の中にはあります.古代エジプト人が好んだ,各辺の長さの比率が「3:4:フィボナッチを英語に翻訳する 5」の直角三角形の場合,底辺(3)と斜辺(5)の長さの比率は 3:5 フィボナッチを英語に翻訳する すなわち,おおよそ 1:1.667 になります.この値は 1:φ に近いため,古代エジプト人が「3:4:5」の直角三角形を好んだのではないか,またピラミッドの角度も「3:4:5」の直角三角形から決めたのではないか,とする説があります.
残念ながら,この「黄金比ピラミッド」説はかなりあやふやです.そもそもピラミッドの斜面の角度が 3:5 になっていませんし.
例えばアップル社のロゴにはフィボナッチ数と黄金比が隠されていることが,デザイナのティアゴ・バルセロス (Thiago Barcelos) 氏によって発見されています.
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